海外ではそこまで話題になっていないビットコインゴールドですが、日本では注目を集めています。本稿では今後増加するであろうと考えられるビットコインからのフォーク(分裂しコピーして新しいアルトコインを作る)に対するユーザーの対応方法とビットコインゴールドの相場分析、および取るべき戦法をご紹介します。
フォークコインは”フォーク時”にビットコイン現物を所持していればチェーンをコピーしてそのブロックから分岐するためその後に現物を売却してもフォークコイン(この場合BTG)は保有していることになります。#ビットコイン #Bitcoin #仮想通貨 #ブロックチェーン #フィンテック https://t.co/8uQIWuNmSf
— 墨汁うまい(Not giving away ETH) (@bokujyuumai) October 21, 2017
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目次
1.ビットコインゴールドとは?
まずはビットコインゴールドについて確認しましょう。ビットコインゴールドのGithubによると
「ビットコインゴールドはビットコインのフォークコインで#491407ブロックから正規ビットコインから分裂し生じる新しいアルトコインです。
このフォークしたブロックからビットコインゴールドを採掘するマイナーは新しいProof of Workアルゴリズムに従ってブロックを生成し、ビットコインブロックチェーンから分岐します。」
としています。
1-1.ビットコインゴールドとオリジナルビットコインの違い
BTGの公式サイトによると下記の様になっています。
ビットコイン ビットコインゴールド
総発行数 2,100万 2,100万
シンボルISO BTC BTG
アルゴリズム SHA256 Equihash
マイニングリグ ASIC GPUリグ
ブロック生成時間 約10分 約10分
ブロックサイズ 1MB 1MB
難易度調整 2016ブロック
(約2週間)各1ブロック毎
1-1-1.ビットコインゴールドのリプレイプロテクションとSegWit
重要なのはビットコインキャッシュが完全に取り除いたSegWitをBTGは導入しています。これは現在のビットコインチェーンはSegWitを導入済みであるため今からフォークするBTGは潜在的にSegWitを実装していることになえいます。またアルトコインであるためリプレイプロテクション(フォークコインの意図しない同時送金の防止)を導入します。
*開発状況のTo DoリストではリプレイプロテクションはWIPとあり、開発予定であり、現時点では実装されていません。
1-1-2.Zcashと同様のEquihash
ビットコインは考案者のナカモトサトシによって定義されたProof of Workを使用しています。仮想通貨において時価総額第2位を誇るワールドコンピューターのイーサリアムにはDagger Hashimotoを改良したEthash、ゼロ知識証明を取り入れ暗号学をベースとした匿名通貨のZcashにはEquihashが使用されています。これらは全て演算処理をハードに行わせ、大量の電気を使用するアルゴリズムのProof of Workの仲間であり、各アルゴリズム事に違いがあります。
ビットコインゴールドはZcashと同様のEquihashを使用するため、現時点でのビットコインマイナーはビットコインASICを使用しているためマイニングすることができません。つまりイーサリアムやZcashをGPUマイニングリグでマイニングしているマイナーが必要となるため、ネットワークにセキュリティを保つほどのハッシュパワーが提供されるかは疑問が残ります。
1-2.ビットコインからフォークする理由
BTGチームによると
「ビットコインからフォークしてアルトコインを生み出すことにより効率的な方法で新しい仮想通貨を配布することができるため最もフェアである。また新規ローンチした仮想通貨は開発者などの一部の人間に集中してしまう」
と主張しています。
BTGの主な目的としてはイーサリアムの様なASICによるマイニングの中央集権化を避け、真の非中央集権を目指すというものです。SHA256のアルゴリズムからEquihashへと変更し、現在のASIC 集権を終わらせることにより世界中の誰しもが気軽にマイニングへと参加できる機会を提供することにより「ナカモトサトシの非中央集権というオリジナルビジョンへと近づける」と強く主張しています。
3.フォークコインの問題点
BTGの主張を見ると正しいことを言っている様に見えますが、実際は大きな問題があります。
3-1.フォークコインのプレマイン
BTGのコードベースのメインパラメーターを見てみると
consensus.BTGPremineWindow = 8000;
とあるのがわかります。これを指摘されプライベートネットワークで正規アナウンスの#491407ブロック前にマイニングを行い、100,000BTGを開発者が保有しているとされ問題となっています。プライベートネットワークだと詳細は知る余地もありませんが、もしビットコインの10分の1の価格がつくとすれば1BTG=67,000円とし既に67億円を保有していることになります。
3-1-1.ビットコインゴールド自体のローンチは11月1日
BTGの公式とみられるツイッターアカウントによると1ヶ月前のツイートによると、フォークするのは10月24日前後であるものの正式ローンチは11月1日となっています。つまり正規フォーク#491407ブロックよりも8000ブロック前、約55日前の9月4日#483407ブロックには既にプライベートネットワークでフォークしプレマインを行っているということになります。
One month until #bgold exodus fork.
Hodl BTC on 10.25 get free BTG on 11.1#bgold1025 #blockchainQE #bitcoin pic.twitter.com/ORgjvTZK8m
— Bitcoin Gold [BTG] (@bitcoingold) September 25, 2017
3-1-2.プレマインコインは悪い?
主張と反した行動というのに目をつむって利点を考えてみましょう。このプレマインコインはすなわプライベートネットワークでマイニングしていたであろう開発者達が得る事になります。BTGが価値を得るということはこのプレマインコインが約67億円の価格(例)がつくということで開発費として売却ができ、BTGネットワークの開発をより行うインセンティブを生み出すことになります。
3-3.ビットコインゴールドクラシックの誕生?
このプレマインはBTGチームの主張に反した「新規ローンチした仮想通貨は開発者などの一部の人間に集中してしまう」ということになるため大きな反響を呼びました。そのためこのプレマインコードを排除したリアルビットコインゴールドというクライアントが有志のデベロッパーにより行われました。
ですがこのクライアントにも問題はあります。コンセンサスアルゴリズムの相違ということになり、51%以上のマイナーがリアルビットコインゴールドクライアントを使用してマイニングすればプレマインチェーンは破棄されますが、51%以上のマイナーがプレマインチェーン(正規)のクライアントを使用するとリアルビットコインゴールドチェーンにより生成されたブロックは無効なブロックとなり、正規チェーンからフォークすることになります。
Copyright © GitHub
4.ビットコインゴールドのもらえる取引所
ここで日本の三大取引所と最大手ビットコイン取引所の7取引所の対応を確認します。
4-1.bitFlyerのBTG対応
ビットコインFX取引量世界1位のbitFlyerは10月21日にビットコインゴールドの付与と上場(分裂したチェーンが恒久的、つまりアルトコインとして存在し続ける場合)を行うと発表をしており、ビットコインゴールドがもらえることがわかります。また付与と同時に日本で唯一上場を宣言しているためビットコイン現物をbitFlyerに置いておくだけでBTGの付与と売買を即座にできるということになります。
ビットコインとイーサリアムの取引はbitFlyerがおすすめです
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4-2.Coincheckのフォーク時のショートポジション対応
日本最大のアルトコイン取引所Coincheckではビットコインキャッシュの時はショートポジション(空売り)を持っていたユーザーは、ビットコインキャッシュの返済義務が生じたもの今回のビットコインゴールドの場合は返済義務が生じないと変更を行っています。
例:フォーク時に10BTCショートをしていた
ポジション・・・BTC = -10BTC : BTG*1 = -10BTG
決済・・・BTC = 10BTC : BTG = 0BTG
*フォーク時には両方自動的にショートしていたことになるが買い戻しはBTCだけでBTGのショート買い戻しは必要なし
*1・・・ビットコインゴールドのISOシンボル
アルトコインの取引はCoincheckがオススメです
4-3.HitBTCの対応
海外ではHitBTCという2013年から数多くのアルトコイン取引サービスを行っている取引所があり、ビットコインキャッシュをいち早く上場したことにより一気に知名度を上げました。今回のフォークも同様にHitBTCはフォークしたその日にHitBTCのアカウントにBTGを付与し、上場すると正式に発表しています。
11月に同様に潜在的にフォークするとされているSegWit2xのB2XコインもアルトコインとしてHitBTCは上場する可能性もあり、動向に注目しておく必要があります。
5.ビットコインゴールドの相場分析
ではこれらの項目を考慮してBTGのフォーク時、フォーク後の対応、BCHやETCとの違いを考察します。
5-1.フォーク時間
BTGのフォークは#491407ブロックなので、現在後100ブロックを既に切っており、当初の予定を前倒しして24日の正午頃予定となっています。ある程度正確に時間を割り出すならばブロック生成時間の平均を確認する必要があります。BCHの影響でハッシュパワーが分散した結果、現在のディフィカルティではブロック生成時間が10分より短くなっており、平均8.5分から9分*2になっていることがわかります。
Copyright © BitInfoCharts
平均ブロック生成時間を約9分と仮定すると10ブロック毎の目安は1h30mであることがわかります。現在のブロックは#491341(記事執筆中)ですので残り66ブロックとなり、約10時間後の日本時間で12:00PM頃にBTGのフォークが行なわれる予定であることがわかります。
*フォーク時間を目安ではなくブロック生成時間で変動するため、必ず概算はブロック数と生成時間から計算を行ってください
*2ブロック生成時間・・・次のディフィカルティ調整が約500ブロック先なのでBTGフォークまでは変更されません。
5-2.フォーク後の対応
フォークコインには通常どのコインでも同じ行動を行います。下記はBCHで使用した例ですが、フォークするということは存在していなかったブロックを過去の履歴ごと全てコピーするということなのでブロックが分岐する前のブロックからスプリットする必要があります。
すなわちフォーク後にすぐ上場されたBCHは各取引所のスプリットが完了してなく、更にディフィカルティが高かったためブロック生成が数十時間されませんでした。これはウォレットや未対応取引所では出金対応ができず、更に売買もできないため売るBCH現物が存在しなかったことから意図的に買い上げることにより大幅に高騰させることが可能でした。
これは自分の当初の指摘通りの価格の値動きであり、イーサリアムクラシックのフォーク後の状態と同じでした。
スプリットは下記記事にて詳しく説明しています。参照してください
5-3.BTGはその他フォークコインとは違う
フォークコインを出金するには下記5ステップが必要です。
1.取引所またはウォレットが対応する
2.ユーザーに対して付与するまたは出金機能を追加
3.新規ブロックチェーンを使用して送金する
4.売買できる取引所に着金し、反映される
5.売却
5-3-1.bitFlyerとその他取引所との差
bitFlyerの様なBTG付与、上場まで提供するとしている取引所の場合は実際に出金対応していなくてもオフチェーンのため取扱をはじめれば(対応取引所の場合は3,4ステップは省ける)売買はできるのでフォーク時には明確な対応を発表している取引所へビットコインを移動させることが重要です。
ここでの注意点は
「BTGのフォークは24日予定だが、正式ローンチは11月1日予定である」
という点です。
5-3-2.BTGのローンチと開発問題
現在BTG自体は開発途中であり、リプレイプロテクションもままならない状態です。つまりどの取引所も1日の正式ローンチ前までにある程度の環境を整える期間があるとすれば送金という点意外においてはの差は埋められてしまう可能性があるということです。また開発がままならず、チェーンが不安定の場合取引所によって付与を延期される可能性が高く、足並みが揃う可能性があります。
この点を考慮するとBCHほどの高騰(意図的な買い上げ)は少なからずあってもBCHが記録したBTCの半分の価格である0.5BTCまでの高騰は難しいであろうことが考えられます。
ただし送金面はブロックごとにディフィカルティ調整が入るため、セキュリティは低いものの小さなハッシュパワーでもマイニングは問題なくできます。つまりイーサリアムやZcashなどよりも総合的に利益率が言い場合はマイナーがBTGに移るインセンティブがあるため他通貨に影響を及ぼす可能性も考えられます。
6.ファンダメンタルによるBTG価格予想分析
*免責事項:ここでの相場分析は価格の上下を保証するものでありません。取引は自己責任であり、いかなる損失においても責任をおわないものとします。
実際にイーサリアムクラシック($ETC)とビットコインキャッシュ($BCH)のチャートを確認してみましょう。下記チャートは左がETCで右がBCHです。本質的なフォーク起因は違いましたが、両者の境遇には共通する点がありました。
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6-1.イーサリアムクラシックの場合
イーサリアムクラシックは本家イーサリアムのハードフォーク時にコンセンサスの相違により破棄されるはずだったチェーンが一部支持され、価格がつきました。これは当初破棄する予定だったETCを取引所が異例の自体であったため対応が数ヶ月に渡って遅れ、上場ではなく出金のみの対応というということになりました。結果スプリットされ売却できる取引所へ送金し売るしかないという自体が続き、約8ヶ月間マイナーの売り圧とイーサリアム派によりスプリットされたETCが売られて行き下落しました。
6-2.ビットコインキャッシュの場合
BCHも同様で既に存在していたビットコインに対し、1:1で保有ユーザーに付与された結果いち早く上場された取引所に対して送金が多発。更にここでブロック生成が数時間進まないことによる入金反映が行なわれず、意図的な買上げにより高騰し、スプリットされたBCHが送金される毎に売られていきました。
ですがBCHはETCの様なコンセンサスの相違によって置きた分裂ではなく、8MBビッグブロックという明確な目的を持って生まれたため、コミュニティ支持と独自開発があったにも関わらずETCと同様にマイナーからの売り圧が強いことがチャートからわかります。
これは現時点のビットコインからフォークしたことによりディフィカルティをそのまま受け継いだため、ハッシュパワーに対する圧倒的なディフィカルティでブロックが生成できないという問題を解決するために実装されたEDA(2016ブロックでの調整ではなくブロックが生成できない場合ディフィカルティを大幅に修正する)により、ビットコインよりもマイニングにおける収益が高い時、利益目的のマイナーがBCHをマイニングして売却するというループが現時点でも続いていることが原因です。
下記グラフはBTCとBCHの利益比較で、これをみると定期的にBCHがBTCの利益を超えて、急降下していることがわかります。
このEDA問題が価格の下落を引き起こしているためBCHは修正ハードフォークを検討していますが別の話となるので割愛します。
6-3.ビットコインゴールドの場合
上記ETCとBCHの様な極端な高騰と下落という風にはなりづらいと考えられますが、基本は同じです。BTGが上場後意図的な買上げと利確により下落し、スプリットと出金対応が少しずつ開始して長期的に下落が続くということになるのがフォークコインの上場時のセオリーです。
更にはプレマインチェーンをマイナーが選んだ場合は高騰時にプレマインした60億円を超えるBTGを開発陣が売ってくる可能性は0ではありませんし、これは長期的に売りが継続して行なわれる可能性を示しています。
ですが短期間でのフォーク乱立ということもあり、イレギュラーが発生する可能性は大いに考えられるためトレードにはお気をつけください。トレーダー意外のユーザーは意図的な高騰時にタイミングを見計らって即座に売却が一番リスクがなく、安定して資産を増やすことができるでしょう。
7.ビットコインゴールドの結論と考察
ビットコインゴールドは自信の主張に対し、プレマインを含むという信用をするには難しい仮想通貨であるともに、開発後のローンチ時のバグの可能性など大くの問題を抱えています。
特にSHA256アルゴリズムからEquihashへの移行は容易なものではなく、多くの検証を重ねて安全なコードを書かない限り、意図せぬフォークなど多くの問題が生まれる懸念があります。
7-1.ビットコインゴールドの今後
仮想通貨における最も重要なことは「開発、取引所、マイナー、ユーザー、サードパーティ全てを含んでネットワークを構築するエコシステムが成り立つか?」というものであり、既に世界的に普及し知名度のあるビットコインに追いつくのは並大抵のことでは不可能でしょう。例え開発が素晴らしくても使用するユーザーがおらず、決済ができない、送金ができないなど一つでもかけると価格は保持できず、エコシステムを形成することが難しくなります。その半面フォークは自由なので自分達の思想にそったコインを開発するということは何ら問題はありません。
これらのことを考慮し、BTGをはじめとするこれから乱立するであろうフォークコインを信じて保有するのはユーザーの自由です。
7-2.ビットコインの今後の影響
ユーザーが気になるのは付与だけではなくビットコインへの価格影響も同様でしょう。ビットコインゴールドはまずASICが使用できないためはハッシュパワーとディフィカルティなどの問題は一切関係ないため基本的にネットワークに影響を与えません。つまり価格への影響はほとんどないと見ていいでしょう(意図的な売りなどを除く)もしビットコインゴールドに大きな価値がついた場合は同様のアルゴリズムを使用しているZcashマイナーが移動する可能性が高いためむしろZcashのネットワークへの影響と価格を懸念する必要があります。
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