ビットコイン価格は11月29日に最高価格を記録。USDでは11,441ドルを突破し、節目となる1万ドルを有に超え、日本円建てでは131万円を記録しました。その後24時間かけて上昇した価格を帳消しにする大暴落を記録。一時USDで2441ドルの下落となる9000ドルを記録。世界最大の取引量を誇るbitFlyer FXは10分で約30万円の下落を記録しました。
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1.ナスダックがビットコイン先物上場検討
ビットコイン大幅高騰の大きな理由としてWall Street Journal(以下WSJとする)が報じた「ナスダックが2018年上半期にビットコイン先物をローンチする」という報道によるものと考えられます。
WSJによると情報に精通した人物によると
「米国の株式市場ナスダックとブローカーのCantor Fitzgerald LPは1年経たずに10倍の価格を記録したビットコインの取引へ加わろうしており、2018年上半期にビットコイン先物取引のローンチを行おうとしている」
としている。またCantorは自社の保有するビットコインデリバティブのローンチを模索しており、これらの動向はシカゴの大手取引所が仮想通貨を使用したデリバティブのプランを発表したという背景があります。
1-1.ナスダックでの上場先
WSJによるとナスダックのビットコイン先物はナスダック先物取引または2015年にローンチしたニューヨークベースのNFXに上場する可能性があるとしています。NFXはNewdield Explorationといい、現在は主に燃料取引などを提供しており、時価総額は約60億円となっています
1-2.ナスダックはCMEとの差別化を図ろうとしている
WSJの取材に答えたある人物の意見によると
「ナスダックは世界最大の先物取引所CMEとCBOEグローバル・マーケッツが発表したビットコイン先物取引との差別化を図ろうとしている」
と述べています。この二大取引所はビットコインのワールドワイドな価格をより追跡しやすい先物取引を提供することを目指しており、それに対抗してビットコイン先物概要を市場参加者へと説明を行ったとしています。
2.CMEがビットコイン先物の詳細を発表
今月28日に行われた、世界最大の仮想通貨メディアCoindeskが主催する Consensus InvestでCMEはナスダックの発表前まで最も期待されていたビットコイン先物取引について発表を行いました。同社は今月20日に「12月11日にCMEビットコイン先物がローンチされるというサイトでの発表はエラーによるものだ」とロイターに対して発表。ただし12月中旬までにローンチされるというものはそのまま生きており、同様に大きな注目を集めています。
3.ビットコインの大幅下落の原因
上記の様な大きな注目を集めているビットコインですが、日本時間30日に日付が変わった後最大33万円の下落を記録しました。
3-1.bitFlyer FXの大きな影響
世界最大の取引量を誇るbitFlyerが提供するデリバティブ取引のLightning FXは現物価格へ大きな影響を与えます。ショートロスカット連鎖により極限まで上げた後、溜まったロングを狙った大幅な売り叩きが毎日朝4時のメンテナンス(10分間行った後板寄せ)に仕掛けられました。
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3-2.ロスカット連鎖によるbitFlyer FX初のサーキットブレイカー発動
ここ数日bitFlyerのビットコイン現物とデリバティブのFXでの乖離が最大8万円を記録するほどのロングが溜まっていたため、この売り仕掛けにより3000-4000BTC日本円にして約33~45億円のロスカット連鎖を記録。
更にはサーキットブレイカーを2017年6月12日に導入してからFXで初となるサーキットブレイカーの発動を記録しました。
サーキットブレイカーの発動条件
・基準価格・・・10分前の約定価格
・制限値幅・・・基準価格の上下20%
・中断時間・・・約5分
サーキットブレイカーの発動後、5分間は板寄せとなるため取引が停止します。今回は10分で約30万のロスカット連鎖下落を引き起こしたために発動しました。
*bitFlyerのビットコイン先物では2017年6月15日に発動しています
4.デリバティブ市場によるロスカットの影響
今回の大幅な価格下落はデリバティブによるロスカット連鎖による下落であることがわかります。実際に現時点でビットコイン価格を決めているのはbitFlyer FX, BitMEX, OKCoinという三大デリバティブ取引所です。つまりこのような大幅下落が起きても実際の現物価格は影響を受けますが、売るインセンティブの低い現在のビットコイン価格においてはこのようなロスカット連鎖による下落は元の価格まで戻すことが多くなっています。
*bitFlyer FXの詳細については下記を参照してください。
ビットコインwiki : bitFlyer Lightningとは?
5.ビットコイン開発における今後とファンダメンタル
SegWit2xという大暴落を引き起こした可能性のあったフォークを回避した今、オフチェーン解決のLightning Networkの送金テスト成功、スマートコントラクトをサイドチェーン技術によりビットコインへ実装するRSK、オンチェーン上で取引が可能なAtomicswapなど多くのプロジェクトローンチを控えています。
ライトニングネットワークとRSKについては下記記事にて説明しています。
5-1.ライトニングネットワークの送金テストが成功
ライトニングネットワークでの送金はiPhoneを使用した即座の送金に11月20日に既に成功しており、有力候補です。
5-2.イーサリアムのメインネットにマイクロライデンがローンチ
11月30日にイーサリアムのスケーリング解決のオフチェーン。マイクロライデンがメインネットにローンチしました。イーサリアムはブロックチェーン技術の中で特に実際のユースケースが多く、スケーリング問題を同様に考える必要があります。
ライデンネットワークはライトニングネットワークと同様のステートチャンネル技術を基にしており、オンチェーンでは不可能な秒速数千というトランザクションに対応します。
詳細は下記を参照してください。
ビットコインは上記ナスダックやCMEの参入とこれらの開発に伴い2018年は更なる飛躍の年となるでしょう。