中国はビットコインを全面禁止?~取引所閉鎖後の経緯とインタビュー~

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中国はビットコインを全面禁止?~取引所閉鎖後の経緯とインタビュー~

 

ロイターによると「仮想通貨に対し、個人間の取引からウォレットサービスまで全てを中国国内で禁止する提案が政府にされた」と16日報道。更に数日前にはWSJにより「中国政府よりマイニングを停止する勧告が出された」などと報道があり、韓国政府の取引禁止提案によりくすぶっている所へ追い打ちという形になり、価格下落が続いています。

本項では中国のビットコイン事情に詳しい中国科学院のDr.Eric Zhao氏へインタビューを行い、中国のビットコイン事情とマイナーの最新動向について詳しく記載しました。

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1.取引所閉鎖後の中国事情

2017年中国の取引所はPBoCの規制と北京OKCoinとHuobiはその他大手取引所より約1ヶ月長く営業し、多くのユーザーのために資産整理期間を与え規制当局に与えられ閉鎖。三大取引所の一つで世界最古のビットコイン取引所であったBTCCも同様に、「9月4日のPBoCによるICO規制を考慮し閉鎖」と発表。約7年間に渡るビットコインを含む仮想通貨の取引サービスを提供してきたものの9月30日に閉鎖を行いました。

1-1.ビットコインは中国で違法ではない

9月14日、BTCCは「9月4日にPBoCにより発表されたICO規制を考慮した後全ての取引を停止」と発表。その翌日、OKCoinとHuobiも同様に取引停止を発表しましたが、当初は人民元とビットコインをはじめとする仮想通貨との取引提供を停止するとし、仮想通貨同士の取引は提供するというものでした。

これは中国大手取引所のCHBTCなども同様であり、

「CHBTCはビットコインとその他仮想通貨は中国国内では未だに違法ではないため引き続き仮想通貨同士の取引を提供していきます。」

と発表していました。

最終的にどの取引所も閉鎖となり、10月31日でOKCoin.cnなどの中国向け取引所は閉鎖。

各取引所の対応は下記を参照してください。

中国のビットコイン取引所に対する規制と各取引所の対応まとめ

1-2.10月31日以降中国取引所

OKCoinが閉鎖するのは北京ベースのOKCoin.cnであり、中国国内向けの取引所であって香港ベースであり、先物取引などを提供する海外向けOKCoin.comとOKExなどはそのままサービスの提供を続けます。

BTCCも同様に、USD取引やマイニングプールなどの別サービスを提供しており、”完全な閉鎖”ではなく、中国国内向けの人民元と仮想通貨の取引を提供する取引所を閉鎖するということです

2.中国のビットコイン取引所の水面下の動き

イーサリアム・ジャパンでは9月に

「OKCoinが”ok.cn”というドメイン、CHBTCが”zb.com”というドメインを購入した」

報道しました。

これらの中国取引所の水面下の動きにはどの様な意図があったのでしょうか?

もし中国人がビットコインのマイニングを辞めた際の大きな影響

2-1.三大取引所の今後のサービス

当初私がzb.comへのアクセス確認を行った所、購入主のCHBTCの公式サイトへリダイレクトされましたがzb.comへとアクセスできるようになり、ok.cnへのアクセスはOKExの公式へと飛ばされるようになっています。

2-1-1.ZB.comのローンチ

CHBTCの所有するドメインのZB.comは10月末にCHBTCではなく新規サイトをローンチ。ZB.comとCHBTCのロゴを比較するとほとんど同じであり、デザイナーが同一人物またデザイン案が同様であることが伺えます。

CHBTC LogoCopyright © 2013-2017 – CHBTC.COM All Rights Reserved

このZB.comのサービス開始は2017年11月1日からであり、取引所での提供ペアはUSDTとBTCを主軸にした取引所で人民元の取引は提供していません。

*USDTとは・・・Tether Limitedにより発行されるUSDにペッグする仮想通貨。

2-1-2.Huobiの提供するHuobi.pro

Huobiも同様にHuobi.comではなくシンガポールベースのHuobi.proにサービスを移行しており、海外向け取引所ということもありZB.comと同様のUSDTとBTCを基軸とした取引所となっています。

11月1日にHuobi Proはイーサリアムベースの0xプロジェクト、新たなトークンエコノミーを生み出すエンジンとなるAIRSWAPプロジェクト、オンチェーンのトラストレスな取引を提供可能とするKyberNetworkと共同で非中央集権取引所通称DEXをメインとするプロジェクトの発表を行っています。

つまりこれにより中国三大取引所全てが海外向けの取引を提供していることとなります。

2-2.ZB.comと中信(Citic)の関係に関する噂

中国のコングロマリットのCITICは国務院直属である巨大企業で、中国国内に大きなネットワークと中国政府と太いパイプを持つがとされています。現在中国国内ではこのCITICにより、ZB.comが買収または資金調達を行ったと噂されており、大きな波紋を呼びました。

この噂が本当だとするとZB.comは中国政府から投資または運営されているということとなり、今後中国がビットコインを禁止するという可能性は極めて低くなると考えられていました。規制の基、ビットコインと人民元との取引を再開する可能性は0ではないとも考えることができ、10月末に大幅な現物価格の高騰を引き起こしたと考えられます。

中国のOTC取引の影響による高騰

Copyright © cryptowatch

 

2-3.Huobiによるインサイダーのリーク

Huobiの広報は「P2P取引を提供」すると告知していたためZB.comの話題も相まってOTC取引を提供するという噂は「中国の取引所がビットコイン取引を再開する」という噂へとなりました。

更に30日に報道された中国メディアのJinseの記事によるとHuobiのインサイダーによると

「Huobi ProはP2P OTC取引を提供する」

とリークされており、実際に11月1日に非中央集権プロジェクトを発表しています。

この報道により30日にはUSD最大の取引所Bitfinexでは最大600ドルの高騰を記録

Bitfinex USD

2-4.中国のビットコイン取引所がOTC取引を提供することによる期待

OKCoinは10月26日、突如下記の様な記事を公開しました。

「最も安全で、シンプルで高速な取引を10月31日以降に提供するかもしれない」

と発表した後、即座に記事を消去。これにより中国コミュニティでは11月1日からOTC*1取引を提供するのではないか?と期待が高まり、価格高騰を引き起こしました。対してOKCoinは記事を消去した後、ユーザーからの問い合わせに応える形で下記の様な画像を再掲載しました。

OKEx

Copyright © OKCoin

この広告によると、

「ビットコインをローカルフィアットで即座に売買」

と記載されており、OKExはOTC取引の提供を開始しました。

*1 OTC取引とは・・・元々の意味は店頭取引ですがここでは個人間の取引を指します

2-4-1.OTC取引という中国での抜け穴

上記で説明した様に三大取引所と大手取引所は本社を海外に移すなどとして、ビットコイン取引とマイニングプールの運営を現在も提供しています。ここで注目すべきはOTC取引という点です。

「ビットコインと人民元との取引を提供してはいけない」という規制に対し、OTC取引ではユーザー同士の取引相手を探す場を提供はしますが、その取引が人民元であるかUSDであるかは極端に分かりづらいという情況となります。つまり本社は香港やシンガポールなどの規制当局の影響を受けない所からのOTC提供によりビットコインの売却を可能とすることが潜在的に可能となることで、マイナーは取引所閉鎖後もマイニングを続けることが現在まで可能となっていました。

2-4-2.OKExのOTC取引の実態と絶大な効果

現在OKExはOTC取引を提供していますが、記事を消去したりなどし規制当局の動向を伺いつつOTC取引を提供しているため、取引自体はとても制限されたものとなっています。利用者によると

「10BTCをデポジットしたとして、どの様に取引をしてビットコインを増やしたとしても10BTC以上の引出しをすることができない」

というものとなっています。

ですがこのOTC取引、実は大きな可能性を秘めており、Huobi Proの提供するOTC取引はAlipayやWechat Payなどの中国で絶大な人気を誇る決済サービスを使用できます。つまりビットコインやイーサリアムを売買するのに現金ではなく、フィンテックの進んでいる中国で最も人気な2大サービスを使用できることから、中国国内では個人間取引が盛んでした。

3.中国はマイニングを禁止するのか?

多くのマイナーの友人を持つEric氏によると

「規制当局が今回の様な行動に踏み切ったのは、仮想通貨と人民元との取引を禁止したにも関わらず表向きに買えないにしてもマイニングをすることで簡単にビットコインなどを手に入れることが出来るからです。」

と述べており、大いに理解できることだとしもし中国政府が本当にビットコインをはじめとする仮想通貨を禁止したいならば、「購入する代わりにマイニングをする」という手段を禁止することが最善であることがわかります。

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3-1.中国政府は簡単にマイニングを禁止できない

中国の個人マイナーの多くはASICを購入するためにお金を借りますが、ビットコインネットワークのハッシュパワーを数%占めることができる独自のマイニングファームを持つ大口マイナーはEric氏によると「自信の広大な土地を持ち、水力発電などの独自の電力供給網を持つ」ため、政府は簡単にマイニングを禁止できないと述べて、更に

「政府はマイニングを禁止したいものの、現状の法律で直接マイニングを禁止できないため、”マイニング停止命令”の様な通知は特に気にしていない。」

としていますが、この様な政策は長期的に影響を与えるだろうとしています。

3-2.中国政府の戦略

2017年11月、中国政府は水力発電所が発電した電気を電力施設網へ接続せず、マイニングへ使用していた電気を「発電した電気を無駄に消費している」とし、マイナーへの電力供給停止命令を行いました。ですがこれはあくまで発電所が電力供給網電気を経由し売ることなく”直接マイナーへ供給”が問題でした。

 

この様に中国政府は直接のマイニングへの介入を行えないため、マイニングファームに対して間接的な介入を行ってきました。今回WSJの報道した問題はマイニングファームに対する停止勧告であり、Eric氏によると

「中国政府は全てを自信で用意することができる大口マイナーには簡単に介入ができないため、この様な態度でマイニングに対しても寛容ではないことを示しています。またマイナーが”税金などを正しく収めているかどうか”、”自然を害していないか”などの粗探しを行っておりマイナーは今後も厳しい罰金を請求または閉鎖へと追い込まれることもあるでしょう」

実際ビットコインキャッシュのフォークを支持した中国のマイニング企業ViaBTCは提供していたクラウドマイング契約に対し、「マイナーは現在閉鎖の危機に面しているため、クラウドマイニングの管理手数料を既存の6%から約8倍の50%へ引き上げ」と発表。実際のマイナーの行動は不明ですが、影響が出ています。

3-3.中国マイナーのプランB

中国マイナーは閉鎖により簡単にマイニングした仮想通貨を売却し、設備費用や電気代へと当てることができなくなっており、例え中国でマイニングが禁止されてないとしても生活のために次の行動を考える必要があるとEric氏は語ります。

世界のビットコインASICの70%のシェアを誇るBitmainはスイス支社を発表後、カナダへのマイニング事業展開を考えており、実際に電力会社に交渉をしているとの報道がありました。実際BitmainのASICに使用されているチップのデザイナーチームは米国であり、Eric氏によると

「その他多くの大口マイナー達は海外でのマイニングを視野に入れて行動を開始しており、北アメリカや南アジアなどを検討しています。」

Blockstreamの現CSOで、元中国三大取引所のBTCC 元COOとして仮想通貨業界で知られているSamson Mow氏はカナダ出身で、イーサリアムジャパンのインタビューに対してEric氏と同様に「多くの企業がカナダへの移動を検討している」と述べています。

またEric氏によるとビットコインネットワークのハッシュレートを10%以上も仕入れるマイニング最大手のBTC.TOPもカナダへの移動を検討しており、ロイターの報道によると「企業と水力発電所であるHydro Quebeは30を超えるマイニング企業への潜在的な電力供給ラインとしての可能性」を説明しています。

4.中国は完全な仮想通貨禁止を行うのか?

16日、ロイターによるとウォレットやOTCを含む仮想通貨サービスの全面禁止をPBoC(中国の中央銀行)の副総裁Pan氏が政府へ促したと報道。この情報元は先週行われたミーティングで使用されたメモであるとロイターは記載しており、例えこれが本当だとしても現時点では検討段階であることがわかります。

2017年に中国国内の取引所をへ#イーサリアム #Ethereum #仮想通貨 #ブロックチェーン $ETH #フィンテック #マイニングした北京行政とCSPC(中国証券監督管理委員会)ではなくPBoCが実際に行動を起こしているとすれば、数ヶ月から数年にかけての規制交付となるため今後も警戒が必要となるでしょう。

5.結論と考察

中国三大取引所だったOKCoinやHuobiがOTC取引を提供していることにより、現在も中国マイナーがマイニングを継続できていることがわかりました。ですが、今回のロイターの報道が本当であり、PBoCがビットコインをはじめとする仮想通貨を全面禁止するという可能性を示唆する報道は中国国内でのOTC取引も影響を受けるため、中国の大口マイナーに対し多大な影響を与えることになるでしょう。現時点でビットコインのハッレートを確認すると大きく動いてはいないことがわかります。

ビットコインハッシュレート

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5-1.マイナーとマイニングプールの混同

ここで重要なのは、マイニング停止の影響を受けるのは中国国内の大口マイナーであり、マイニングプールは影響を受けません。マイニングプールはスタートアップ企業により提供される多くのマイナーが携わり、プール全体でマイニングを行うもので、例えばBitmainの運営するAntpoolを構成しているマイナーは世界中に存在し、誰しもが自由にマイニングプールに携わることができます。

よくメディアや一部の記事によって「ビットコインのマイニングは中国に70%以上支配されている」などの内容を見かけますが、ネットワークのハッシュパワーと中国企業のマイニングプールを単純に合計しているだけであり、正確ではありません。そのため一時的な影響はあるものの、ビットコインネットワークそのものが窮地に陥るということにはならないでしょう。

Antpoolを例に取ると実際はマイナーの住む国ごとに分布しており、中国のマイナーのみではありません。(数字は例であり直接的な数字は関係ありません)
マイニングプール

Copyright © blockchain.info

5-2.中国国内でのマイニングファーム

中国は水力発電大国であり、マイニングファームも川やダムの近くへ建設しているものが複数あります。では電気代の供給を絶たれることを懸念し、新しく川沿いに水力発電を目的としてマイニングファームを建設するとしてもEric氏によると、「土地代の高騰により、川沿いの土地を購入することは難しい」とイーサリアムジャパンのインタビューに答えており、現在の限られた大口マイナーしか中国では生き残れないことがわかります。

 

中国の水力発電と電気料金の関係性については下記記事にて詳しく解説してあるので参照してください。

中国のビットコイン規制によりマイナーがASICとGPUを売却開始

5-3.もし中国からマイナーが移った場合の影響

香港を除く中国国内、特に北京に多く存在した取引所は全て閉鎖し、引き続きサービスを提供するためシンガポールや香港などにオフィスを移転しています。取引所の移転は消費者が変わるためマイナーの件を除くと特に問題はありませんが、マイナーがカナダに移る場合には大きな問題となります。

中国国内で使用していたASICは既に初期投資分を回収しているため、輸送費用の方が安くつくためそのまま利用することとなり、その他移転費用がかかることとなります。つまり中国国内でマイニングしている限りは必要最低限の人件費や電気代、管理費で済むものの、余計なコストがかかる分、マイニングした現物を売るインセンティブが強くなるため、普段以上のビットコインの売り圧が発生することとなります。ハッシュパワーの一時的下落とそれに伴う送金遅延、更には移転したマイナーの売り圧により中長期にかけてマイナーの売り圧に影響されていくことになるでしょう。2018年はライトニングネットワークやRSKなどのサイドチェーンなどの多くの技術的革新を控えており、価格が高騰するためにはこのマイナーの売り圧を超える必要があるため、予測が難しいでしょう。

ライトニングとRSKについては下記を参照してください

ビットコイン開発の今後とCboe, CMEビットコイン先物の詳細

5-4.ビットコインのテクニカル分析

Copyright © CryptoWatch

USDの日足を確認すると12,600ドルのサポートラインを境に反発していたものの、CMEとCboeの影響が弱かったのと日本での出来高が収束した影響か、弱々しく下降三角を形成していたところbitFlyerのロスカット連続による4回のサーキットブレイカー発動により大幅に下落を記録しました。ですがbitFlyer FXはデリバティブであり、本来価格影響を与えるものではないためこの下げは一時的であると見られます。このままの出来高収束と、2017年のビットコインの値動きが2016年と近似していたことから、2月も去年と同様に大きな下落を記録するファンダメンタルによる影響が嫌でも頭をよぎります。この下落トレンドを抜け出すには2月末まで時間がかかるのではないかと考えられます。

5-4-1.ビットコインドミナンス

ビットコインドミナンス

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ビットコインのドミナンスを確認すると少し回復して35.4%となり、イーサリアムは今回の下落の煽りを少し受けたものの、リップルと対照的に増え18.41%と上昇しています。

5-4-2.仮想通貨全体の時価総額

2017年5月から安定的に時価総額を伸ばし、11月からはATH(常に高騰)を記録していたものの、2017年末と同額まで戻っていることがわかります。イーサリアムのBTC建ては大きく下落してないのに対しフィアット建てでの下落はフィアット建てでの資金が流れていることを示し、仮想通貨全体の一時的な調整となっています。

 

仮想通貨時価総額

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