2017年8月1日、ビットコインコアチェーンがSegWit2xの実装に向けてネットワークのコンセンサスがとれ、UASFが実行された中、UAHFが発動されました。当初イーサリアム・ジャパンでは正規UAHFは行われずビットコインは分裂しないと結論付けていましたが、一部のマイニングプールにより行われてしまいました。
スポンサーリンク実際のビットコインの完全なる分岐となるためのマイニングは1ブロックも進んでおらず、フォークのみが完了した模様。明確な分裂とは言えませんが一応ビットコインと同量のビットコインキャッシュはスプリットすれば存在します #ビットコイン #Bitcoin #仮想通貨 #ビットコイン分裂 pic.twitter.com/6xGYYIrsDg
— 墨汁うまい(Not giving away ETH) (@bokujyuumai) August 1, 2017
1.ビットコイン分裂によりビットコインキャッシュが誕生
当初のBitmain主導のもとによるUAHFではない形でしたが、ビットコインキャッシュは生まれ、ノードはフォークを完了しました。
問題のブロックは日本時間8月1日22:16にマイニングされた #478558 ブロック後から起こり、ViaBTCの一部のマイニングノードがビットコインキャッシュのクライアントであるBitcoin ABCに切り替えたことによりフォークを行いました。
1-1.ビットコイン分裂の時間がずれた理由
UAHFでは元々、2017年8月1日21:20に行われるとされていましたが、BIP113の”Median Time Past”を基にアクティベートを行いました。これは11ブロック中の6ブロックの中央値のタイムスタンプを使用するためすぐには起こりませんでした。
ビットコインの分裂とされる時間まで後10分を切りましたが、ビットコインのブロック生成時間は10分ではなく約10分です。BIP113の11ブロックの中央値すなわち6ブロック目前後のタイムスタンプとなり21:20以降だと公式は追記しています #ビットコイン #仮想通貨 #UAHF https://t.co/JcV0t3sqFr
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1-1.ビットコインキャッシュの初となるブロックがマイニングされる
ノードのフォーク後、 ブロック #478559にてハードフォークが行われました。これは日本時間で8月2日3:12AMでフォーク後の約5時間後となりました。
これはフォークしたビットコインの現在のマイニング難易度に対し、計算を行っているマイナーの計算力が低く、次のブロックを生成するのに時間がかかったためです。
1.ビットコインキャッシュの誕生
1-2.ビットコインキャッシュのフォークの確認
ではビットコインが分裂したことを確認する証拠はあるのでしょうか?
これは簡単でブロック #478559のブロックサイズを確認します。上記画像の赤枠の部分を確認すると1,915.175kBであることが確認でき、正規ビットコインネットワークの場合はノードが1MB以上のブロックは無効ブロックとみなします。
対してUAHFの条件は”フォークブロックは1,000kbyteを超えるブロックサイズでなければならない”というルールのもと、ハードフォークする必要があったからです。
これによりビットコインキャッシュがUAHFによって生まれたことが確認できました。
2.ビットコインキャッシュに考えられる問題
まずはじめに考えられたことは、マイナーが貴重なハッシュパワーを価値がつくか怪しいビットコインキャッシュに対して割くインセンティブがあるのか?ということです。
スポンサーリンク2-1.ブロック報酬の差
ビットコインキャッシュの初のブロックをマイニングする5時間の間、平均10分でブロックを生成する正規ビットコインネットワークと比較すると最低でも30ブロックの差がつきます。現在のビットコインのマイニング報酬は12.5BTCです。現在のビットコイン価格を305,000円で固定すると
12.5BTC ✕ 30ブロック = 375BTC
375BTC ✕ 305,000 = 約1.14億円
対してビットコインキャッシュの価格はViaBTCの価格を参考にすると1BCHで0.08BTCほどです。日本円にすると24,400円しかマイニング報酬はなく、ビットコインキャッシュが1ブロックマイニングされるまでの5時間の間に約1億円以上の報酬の差がでることとなりました。
これは今後マイニングする上で価格の情報が見込めないということはマイナーがネットワークを構築するための大事なインセンティブにかけるということとなり、BitmainがUAHFを行わなかった理由がわかります。
ビットコインのマイニングにかかる電気代と費用につきましては下記記事を確認してください。
2-1-1.Bitcoin ABCネットワークに考えられる攻撃
通常UAHFをおこなった際のマイニングの難易度は#477792から#479808までは調整されることなく、1300ブロック以上をマイニングしなければマイニングの難易度は調整されません。
ビットコインキャッシュでは市場価格によってマイニングのハッシュレートを予測することは不可能であるため、通常の2016ブロックの難易度調整より早く調整されることになっています。UAHFの説明によると
「もしハッシュレートが低い場合、UAHF後に12時間ブロックがマイニングされないまたはブロックの中央値の6ブロック後の更に後にProof of Workのターゲットは4分の1または25%増加されることにより、約20%のディフィカルティの減少に相当します。」
としています。
難易度調整がされるまでは正規ビットコインをマイニングし、ディフィカルティの調整が行われた後に悪意を持ったマイナーがビットコインキャッシュに51%攻撃をしかけることができます。
なぜならば通常のマイナーは自分たちのかかる費用と利益を得ることがネットワークを構築するインセンティブであり、ビットコインキャッシュを難易度調整まで馬鹿正直にマイニングし、数億円分の可能性のある利益を逃す理由がないからです。
2-1-2.ビットコインに価値が付く理由
ビットコインには約4兆円の市場規模を持っています。マスタリングビットコインの作者アンドレアス氏によると、これは下記の様に表すことができるとしています。
「4兆円のセキュリティがあるビットコイン」
これはどういう意味でしょうか?
ビットコインネットワークは多くのノード、マイナーが携わることによりトランザクションを含むブロックを検証し、送金の改ざんや悪意のあるネットワークへの攻撃を数年に渡って防止してきました。これはビッグブロックの伝達問題も同様です。投資としての需要ももちろんありますが、ネットワークが安全なコードによりセキュリティが保証されているということはビットコインの大きな存在理由です。
3.ビットコインキャッシュの問題点
対してビットコインキャッシュの問題点を上げると
・ネットワークのセキュリティを維持するマイナーにはインセンティブがない
・サードパーティの開発が期待できない
・約4兆円のセキュリティがあるコードを開発してきたデベロッパーがいない
などが上げられます。現在の価値はビッグブロック派による暴落防止の買い上げによるものが大きいでしょう。
3-1.マイニングしているプールの問題
UAHFはもともとJihan Wu氏率いるBitmainによって提案され、UAHFは行わないとしたもののビットコインキャッシュへハッシュレートを割くかもしれないということを述べていました。
ではUAHFから約12h経過した今BitmainのマイニングプールであるAntpoolはマイニングを行っているのでしょうか?
ビットコインキャッシュのブロックチェーンを確認するとViaBTCのマイニングユーザーと個人プールのみがマイニングしていることがわかります。これはJihan氏の個人的マイニングプールの可能性も考えられますが詳細は不明です。
3-2.圧倒的手数料の少なさ
ビットコインは半減期をもうけているため去年の2016年7月9日からブロック報酬は半分となり、12.5BTCとなっています。また2020年にも次の半減期が行われるためビットコインの送金手数料はマイナーにとって大きな収入源となっていることがわかります。
では1ブロック内の手数料を見てみると平均手数料は1BTC前後あり、マイニング報酬と含めると13.5BTC前後となります。
マイニング報酬 12.5BTC + 送金手数料約1BTC =13.5BTC
13.5BTC ✕ 305,000 = 約410万円
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対してビットコインキャッシュの1ブロックに含まれる送金手数料は平均は約0.25BCH
12.5BCH + 0.25BCH = 12.75BCH
12.75BCH ✕ 24,400円 = 約31万円
これはビットコインに比べると7.5%にしか満たなくディフィカルティの問題、需要のない問題、マイナーの損益分岐点など全てを考慮してもビットコインキャッシュをマイニングするインセンティブは見つからないことがわかります。
半減期については下記wikiを参照してください
4.結論と考察
今回の分裂はどういったものだったのかという説明をわかりやすくした画像が話題となりました。
— ⚡️Bolv3rk⚡️ (@Bolv3rk) August 1, 2017
通常のフォークは新しいものに分岐を行いますが、今回のフォークは今までのビットコインの名前を利用したただのコピーしか過ぎないということです。十分なコミュニティのサポートもなく、開発者も少なくプロジェクトの実態が不透明。ビットコインコアデベロッパーは400人以上おり、類まれなる才能を発揮しています。
4-1.今回のフォークはいつ誰でも簡単にできる
今回のフォークという茶番により国内の取引所を含む、多くの取引所がビットコインを出金され現物が枯渇するという点を”恐れ”ビットコインキャッシュの上場と出金対応に応じました。
UAHFという名前をつけてはいるもののこれはただのプロジェクトのコピーであり、今後誰でもどのタイミングでも行えるためビットコインキャッシュ2、ビットコインキャッシュ3、ビットコインキャッシュ4などと同様の”脅し”が行われた場合、どの様な点でも今回出金対応した取引所は同様の対処を施さなければいけなくなります。
4-2.ビットコインキャッシュの価格は高騰するのか?
イーサリアムクラシックの例を見ると上場後に大きな価格高騰を見せました。これはイーサリアムコミュニティの中でイーサリアムクラシックのCode is Lawで非中央集権であるという思想に多くのユーザーから支持を得たために起こりました。
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ビットコインキャッシュには同じビッグブロック派のBUからもあまり支持を得ておらず、ましてや提案者であるBitmainからはマイニングのハッシュパワーも現状では供給されていません。またイーサリアムクラシックにはコミュニティサポーターが多く見られましたがビットコインキャッシュの詳細は不明です。
マイニングの問題点と重要なコミュニティの支持を得ていない”コピービットコイン”のビットコインキャッシュは仕手による買上げによること以外、価格高騰は難しいと考えられます。
当初予定していたUAHFとは異なったないようとなりましたが、今後もJihan氏によるビットコインエコシステムへの政治干渉は続いていくことが予期されます。
4-3.bitFlyerFXの仕手
8月1日に公開した記事ではUAHFは起きないという見解は外れましたがbitFlyerでの乖離をこのUAHFに合わせて行うという考察は的中。4万円を記録した後、世界の取引所とは乖離し、4万円の乖離を埋める買い上げ仕手が行われました。
現在のビットコイン現物価格とFXの乖離は2000円前後まで回復した後、6000円前後開いています。
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