イーサリアムのマイニング報酬を2ETHに減少するEIP-1234と開発の今後

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イーサリアムのマイニング報酬を2ETHに減少するEIP-1234と開発の今後

イーサリアムのコンスタンティノープルハードフォークに焦点をあてたデベロッパーによる特別会議が日本時間31日に行われました。この会議では、特にイーサリアムのマイニング報酬およびアンクル報酬を減少させるEIPについての話がメイントピックとなっています。

本稿では、デベロッパー会議で決定したEIP-1234の影響と問題、今後のイーサリアムの開発実装についての解説を行いました。

 

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1.コンスタンティノープルにフォーカスした会議

31日に行われた会議では、主にマイニング報酬の減少についてフォーカスしており、既にコンスタンティノープルのEIPとなる新たなOPCODEの追加などに加え5つのEIPになると考えられます。

24日に行われたデベロッパー会議ではマイニングコミュニティから代表を招きました。中国の最も古いSparkpoolのCEOのXin Xu氏や米大口マイナーのAtlantic CryptoのCEO Brian氏などが参加し、マイニングコミュニティはの3ETH継続、Nephew報酬を減らしUncleを調整するEIP-1295を支持し、デベロッパーは2ETH、アンクルも調整するEIP-1234を支持し、意見がわかれました。

これらの会議の意見を参考に、今回の特別会議では競合するEIPについてフォーカスした話し合いとなりました。

 

2.EIP-1234はEIP-186に沿っている

EIP-1234は、現在のビザンチウムにEIP-649が実装された時点で開発ロードマップでは決まっていたといえるでしょう。今後のコミュニティ分裂のリスクは、EIP-649が実装された際にスムーズにディフィカルティボムの影響を残したまま移行できた点において、確定的だったと考えられます。

 

EIPについては過去の記事を参照してください

10月16日イーサリアムのメトロポリスハードフォークの重要な事

 

2-1.EIP-1234マイニング報酬を3ETHから2ETHへ減少させる

EIP-649のオリジナルのEIP-186ではフラッグデーごとに報酬変更することでハードフォークリスクを回避するというもので、EIP-649では報酬を5ETH→3ETHへと変更するものでした。EIP-186では1ETHずつ減らし、最終的にCasper移行前に1.5ETHまで調整するものであったたため今回の決定は開発が進むにつれ”前提”となっていたことを踏まえ、EIP-1234について見てみましょう。

EIP-1234では現在の3ETHから2ETHへの変更かつディフィカルティボム調整となっています。現在日本の一般マイナーは1ETH掘るのに2ETH分の電気代を必要とし、赤字の状態でのマイニングとなっています。電気代の安いアメリカなどの地域では1ETHを掘るのに0.89ETHとなり、ギリギリ黒字のラインです。

 

図1.EIP-649の3ETHの場合

 

対して、EIP-1234では約34%の報酬減少となるため、同じハッシュレートでは0.89ETHの電気代に対して0.66ETHの報酬となるので、明確な赤字となります。

中国では電気代よりも人件費が高くつくため、同様に問題です。

図2.EIP-1234の2ETHの場合

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2-2.マイニング報酬が減少が引き起こす問題

DAGによるメモリーハードによりASICレジスタンスであったイーサリアムは、Antminer E3の登場により状況が一転、W/Pレシオは脅威の4.4W/Pで、GTXリグはOCなしで5.5W/P、RXリグ6W/PであるためASICの一般的性能からは劣るものの、バッチ1での800ドルという価格は圧倒的なコスパによりETH価格が下落を続けるにもかかわらずハッシュレートが大幅に増加しました。

つまりAntminer E3では、既存のリグよりW/Pレシオが低いことにより、有利である点、更に日本のように毎年釣り上げされる”再生エネルギー賦課金”により世界レベルで高い電気代の地域(キュービクルでもマイナス)や個人マイナーは現在のベア相場では”掘るほどマイナス”である現状、ここから更にEIP-1234で報酬が減ることにより「ハッシュパワーの中央集権化」が考えられます。

 

2-3.ハッシュレートの中央集権化

通常ハッシュパワーが増えると既存マイナーの報酬は増え、ハッシュパワーの増加は価格の上下によりある程度のインセンティブが働き調整されるべきものです。ですが、ビットコイン同様、イーサリアムのハッシュレートは右肩上がりになっており、初期投資を回収できていないマイナーが増える悪循環により、そのインセンティブは誤差レベルにとどまっています。

これらのことから、現在の大半のマイナーはマイナス収益でもマイニングしていることになり、電気代を安く抑えている企業や電気代の安い地域の大規模なマイナーは利益を出すことで継続でき、個人マイナーはさらなるマイナスに耐えられないことになります。単純に考えて現在の価格帯が続くとすると、34%のハッシュレートが他のネットワークに割かれるか、GPUが売却されることになります。

企業に集中し、さらにASICがネットワークを構築するというのはセキュリティ的に大きな問題といえるでしょう。

出典:https://etherscan.io/chart/hashrate

3.イーサリアムの今後のハードフォーク周期

EIP-1227では現在のデフレモデルへとビザンチウム実装時から移行を目指しているイーサリアムとは真逆の提案で、マイナーはディフィカルティボムの調整ではなく”排除”を提案しました。ですが、前回のDEVCON3でデベロッパーは

「8ヶ月のタイムラインでのハードフォークによる新規EIPの実装を行う」

としていたため、イーサリアムの開発においてそぐわないため、コアデベロッパー会議44で全員一致でディフィカルティボム調整で決定しています。今回の会議では、この8ヶ月周期でのアップデートにデベロッパーは全員賛成で、ディフィカルティボムの調整は12ヶ月でコンセンサスを得た形となりました。

これはつまり、ロードマップ上では後2回であったコンスタンティノープルと完成となるセレニティとは別に、現在のメトロポリスを分割したビザンチウムとコンスタンティノープルのように複数にハードフォークが分割されることを指します。

今回Casper FFGのEIP-1011が開発遅れで入らないことや、Sharding+Casperの32ETHデポジットの1wayバーンコントラクトとその後のアップデートを考えると、より長期のロードマップで見る必要があるでしょう。

ディフィカルティボムについては下記wikiにて詳しく説明しています

ディフィカルティボム

 

4.結論と考察

今回Coinvoteで行われた投票では、1ETHに減らすEIP-858が72%の支持を得ていましたが、この場合、ビットコインのインフレ率を下回ることやエコシステムを考慮した際に妥当な判断とは言えず、デベロッパーも「一つのシグナル似すぎない」と述べており、前回の会議で言われた「2ETHは妥当である」という点から今回のEIP-1234は決まっていたといえるでしょう。

非中央集権での開発は前提ではあるものの、エコノミックモデルとエコシステムを考慮して逸脱した提案や実装はデベロッパーに修正される傾向にあります。中長期的にみて34%の売り圧が減ることとなるので、イーサリアムのデフレモデルへの移行とCasperへのセキュリティアプローチのEIP-186を考慮するとネットワークは順調に進んでいると言えます。

出典:https://www.etherchain.org/coinvote

 

▼さらに詳しくはDMMサロン「墨汁うまいと学ぶ仮想通貨の世界」にて

https://lounge.dmm.com/detail/1145/







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