(英:Metropolis)
イーサリアムのメトロポリスとは2017年現在のホームステッドに次ぐ大型アップデートです。イーサリアムは実装当初から最低4度のハードフォークを前提とするプロトタイプネットワークであり、メトロポリスは第3段階目となります。
予定では2017年6月末予定でしたが、2017年7月現在も議論が重ねられており実装は遅れている状態です。
イーサリアム全コアデベロッパー会議で提案された一度の実装ではなく、メトロポリス実装を2度に分けての実装とし、ハードフォーク1とハードフォーク2に分ける予定となっています。
目次
1.メトロポリスの時期はいつになるのか?
イーサリアム創設者のVitalik Buterin氏による8月15日のAMAによると
「メトロポリスは現在テスト段階に入っており、2-3ヶ月ほどになります」
とコメントしています。またプラズマで注目されているZoEについては、
「同様にメトロポリスによるプロトコル変更のため2-3ヶ月必要とし、更にその後2-3ヶ月はzk-SNARKの基盤を公開するのにかかります」
2.メトロポリスは2回のハードフォークを行う
主にProof of Stake (以下PoSとする) 実装までにディフィカルティボムを遅らせることが主な内容となり、メトロポリスにはイーサリアム独自のPoSであるキャスパーは含まれません。メトロポリスの次の大型実装でイーサリアムを完全版とするセレニティほどの大きなアップデートにはならず、マイナーアップデートとなります。
*現時点での情報はイーサリアム全コアデベロッパー会議20までに議論された内容となります
2-1.メトロポリス ハードフォーク1″ビザンチウム”
EIP-609のメトロポリスのハードフォーク1のコードネームはビザンチウム(Byzantium)となり、コアデベロッパー会議では9月末予定ですが間に合わない場合は10月予定と暫定的に予定していますが確定ではありません。
ビザンチウムでの重要な実装については下記を参照してください。
2-2.メトロポリス ハードフォーク2″コンスタンティノープル”
メトロポリスのハードフォーク2のコードネームはコンスタンティノープル(Constantinople)となります。既にアクセプトされているが遅れているEIP-86をハードフォーク2に間に合わせる
3.zk-SNARKの導入であるZoE実装
楕円曲線暗号とzk-SNARKを用いたイーサリアムトランザクションの匿名化に2016年から取り組んでおり、2017年8月にはこのzk-SNARKを応用したイーサリアムのスケーリング解決プラズマの導入の第一ステップとなります。
4.メトロポリスのハードフォークが持つ潜在的リスク
イーサリアムは2015年フロンティアのローンチ時から、フロンティア、メトロポリス、セレニティという大型アップデートによりハードフォークし開発していくことが決まっていました。イーサリアムは2018年予定とされているセレニティ時にPoSに移行することが決まっており、生みの親のVitalik Buterin氏によりCasperを長期に渡って開発しています。ですがメトロポリスハードフォークにはイーサリアムネットワークが抱える大きな問題が露見することとなります。
4-1.Proof of Stakeで得られる報酬の減少とマイナー
PoSはPoWと違い、資産の証明となりETHを多く、長く所持しているノードがブロックを検証します。今まで使用してきたGPUマイニングリグは必要となくなり、1台数十万円のコストがかかったマイニングリグはイーサリアムをマイニングできなくなります。
また実際に得られる報酬自体もPoWとは違い少なくなると言われており、イーサリアムコアデベロッパーとイーサリアムマイナーの間にコンセンサスの相違が生まれる可能性が極めて高くなります。
4-2.EIP-186とProof of Stakeによる分裂
イーサリアムネットワークがPoSに移行することは多くの議論を呼びました。PoSは現時点で開発が大幅に遅れておりセレニティでの実装となり、そのハードフォークの際PoWマイナーとコンセンサスが得られなければネットワークが分裂することとなります。ですがメトロポリスではEIP-186のブロック報酬減少が実装される場合、PoS移行前にはブロック報酬が2ETHまで減少してしまうため現状のブロック報酬が5ETHを維持したいマイナーとコンセンサスが取れなくなり、ハードフォーク時にホームステッドのチェーンをマイニングするマイナーが出て来る可能性が高くなります。
またVitalik氏とデベロッパー間での仲違いもあり、イーサリアム・クラシックとは別の分裂を引き起こす可能性があります。
EIP-186については下記記事にて確認してください
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